健さんのマンションアドバイス

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zoom RSS ■■■ マンション界 2015年を振り返って ■■■

<<   作成日時 : 2015/12/31 08:01   >>

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■■ 去年から今年にかけてマンション界は例年以上に欠陥・トラブル・偽装が
  多発しました。
  社会に大きな不安を与えた事件を、新聞・TVの報道内容を基に改めて見直
  していきましょう。

■「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町」(東京都港区)

□ 売主:三菱地所レジデンス  設計監理:三菱地所設計  施工者:鹿島建設
  地下1階 地上7階 86戸 
  高級住宅地の超高級マンション(三菱地所レジデンスの”フラッグシップ”)

□ 構造躯体貫通孔(スリーブ)に関する大きな欠陥が完成間際に発覚

□ 発覚の発端 ネット上の書き込み

□ 構造躯体の梁・壁・床等を各種設備配管が貫通する為の孔をスリーブと称す
 るが、必要なスリーブが開けられていなかったり、位置が間違っていたり、後
 から孔を開けたことにより鉄筋が切断されていたりすることが判明した。
 スリーブ総数のうちの約1割の700箇所に問題があった。
 スリーブ設置数は実に多数であり、人手による作業であり、更に時間に追われ
 る工事なので、このような事象は現場では、まま起こりうることではあるが、
 これほどの数となるとあまりに異常である。

□ いったい何があったのか?
 我々外部の者としては、一般論として、・設計ミス・設計変更対応ミス・無理
 な工程・現場関係者間のトラブル等が考えられるが、内部の人にしかわからな
 いことなので、当事者の方々はこれからの建設業界の為にも明らかにすべきだ
 と思う。

□ 完成引き渡し間際の解約 
 解体・建て直しが決定(所要期間3〜4年、全額鹿島建設の負担)


■ 「パークタワー新川崎」(川崎市)

□ 売主:三井不動産レジデンシャル 設計監理:松田平田設計 施工者:清水建設 
 
□ 地下2階 地上47階 670戸
 
□ 構造躯体施工中に、一部コンクリートの柱・梁にひび割れ・剥離などが生じ
 たため、その問題部分を解体、撤去し再施工した。 

□ 原因は、4階のPC柱とPC柱の接合部に充填剤注入を忘れ、5階・6階部
 分を施工してしまったため、その重量で柱の一部に許容限界を超えた荷重がか
 かったようだ。
 単純な人為的ミス(チェック忘れ) が大きな問題を引き起こしてしまった。

■ 免震装置ゴム不良品出荷及びデータ偽装問題  

□ メーカー:東洋ゴム工業(子会社が製造)

□ 性能不足の製品を採用したマンションその他の建築物は全国18都県に55棟。
 うち、マンションなどの共同住宅は25棟。(当初報告)
 タイヤメーカーであり免震ゴムのシェアは数パーセント。(なのが不幸中の幸い?)

□ 免震ゴムというのは、建物の基礎と上部構造との間に設置され、その伸縮に
 より地震の揺れを吸収し、振動が上部建物に伝わりにくくするための装置。
 薄いゴム板と薄い鉄板とを交互に重ね合わせて接着したもの(円の中心に鉛の芯
 棒がある)が一般的。

□ 地震の揺れを抑制する製品性能のばらつき(基準値の誤差10%内)が最大
 で−50%の製品があり、所期の免震性能を得られない。
 問題製品の大臣認定が取り消された。

□ 製品の品質評価は一人の担当社員が10年以上に渡り携わっていたとのこと。
 「営業からのプレッシャーがあったため」との話も聞く。
 やはり納期か。
 20年前の新規参入時点からデータ偽装の不正が行われていたとのこと。
 その後の報告では、4人の社員が関与と。最終報告ではなんと9人が疑わしいと。
 去年には経営陣も不正を認識していたにも拘わらず、公表や問題の製品の出荷停
 止を遅らせていたことも発覚。
 やはり組織ぐるみか。

□ 東洋ゴム工業は、140億円を投じて、対処が必要な154棟、免震ゴム約3000基を
 当初の性能評価基準に適合する製品に取り替えると発表している。
 手作業になるため、完了するまで2年間を要すると。
 こんなこと簡単に言ってしまっていいのか・・・?
 既に納入して、設置され、その上に大規模な(最高30階)建築物が載っかってい
 るんですよ。
 ポンと置いてあるのを新しいのと取り換えるだけ、なんてものじゃない。
 車からエアバッグを取り外すのとは、わけが違う。

□ マンションであれば、何百人もの人々が住んでいる。
 建物をジャッキで持ち上げて、免震ゴム取替中に地震が来たらどうなる?
 第一、メーカーの一存でそんなこと出来ないでしょう。
 建築物の所有者(マンションであれば管理組合)の都合や考えだってある。
 建築物を施工したゼネコンの考えもある。
 免震ゴムは経年劣化もあるので、免震建築を設計する際、将来の交換についても
 もちろん考えている。
 しかし、実際に交換するとなると大変なことなのだ。
 考えただけでも恐ろしい。とんでもないことをしてくれたものだ。
 いっそのこと、免震ゴムはそのままにして、ドーピング剤でも注射したらどうな
 んでしょうか、メーカーさん。


■「ル・サンク小石川後楽園」(東京都文京区)

□ 売主:NIPPO、神鋼不動産 設計監理:日建ハウジングシステム 施工:安藤・間

□ 地下2階 地上7階 107戸

□ 東京都建築審査会から建築確認処分取り消すとの決裁書が届いた。
 マンションは完売、ほぼ完成状態で確認取り消し。

□ 民間の指定確認検査機関による確認済の設計内容に疑問を持った近隣住民が安
 全基準を満たしてない恐れがあるとして、建築確認の取り消しを求めて審査を請
 求していた。
 
□ 都建築審査会は避難設備の不備を理由に建築確認を取り消す裁決をした。
 法令上、マンションでは火災や災害時に屋外に出られる避難階を設ける必要があ
 り、審査では1階の大型駐車場が避難階と認められるかが争われた。
 建築審査会は、駐車場と地上との高低差が2・5メートルもあり、直接の通路が
 車用の斜路しかないことなどから、「避難時に有効に機能するとは認めれれない」
 と指摘。
 避難階段などの設置を求めた東京都都建築安全条例違反と判断した。
 
□ 改めて確認申請し直しとなった場合は、絶対高さ制限を定める高度地区の指定
 に関わる問題に抵触しないよう、2階分低くするなどの対応が必要になる。

□ それにしても、完成間際に確認取り消しだなど、そんなことになる前に売主・
 設計者は自主的に問題を解決できなかったのか?

□ これにいくらか関連した例が過去にあった。
 国立市の「クリオレミントンヴィレッジ国立」だ。
 14階建てのマンションを市条例の高さ制限20m以下(7階)にせよとの住民の
 訴えに対し、地裁は違法部分の取り壊しを命じた。(完成・入居済)
 それに対し、売主(事業主)が控訴した結果、高裁では住民の訴えは却下された。
 この条例は当マンション確認済み着工後に制定されたものであった。


■「パークスクエア三ッ沢公園」(横浜市西区)

□ 売主:住友不動産  設計監理:熊谷組  施工者:熊谷組

□ 全5棟 11階建て 262戸 2003年分譲

□ 杭施工不良により、建物が傾斜した。
 9本の支持杭(現場造成杭)が支持地盤に届いていないことが判明。

□ マンションの棟と棟を結ぶ外部廊下手摺のエキスパンションジョイント部分の
 ずれに住民が気づき(去年2014年)、管理組合がボーリングを実施して判明した。
 売主・施工者も調査を行った結果、施工ミスであることを公表した。

□ 敷地は丘陵地帯にあり、支持地盤は複雑に傾斜しているのは判っていた筈なの
 に、地盤調査が不十分だったことが原因している。

□ 売主側の提案は、建て替え、買い取り解体。
 傾いた棟の住民は仮住まい。

□ 住民の判断
 単棟型マンションなら比較的まとまりやすいが、多棟型の場合は難題である。 
 棟ごとに事情が異なるので当然、住民の判断が分かれる。


■「パークシティlala横浜」(横浜市都筑区)

□ 売主:三井不動産レジデンシャル 設計監理:三井住友建設 施工者:三井住友建設

□ 4棟 12階 705戸 竣工:2007年11月

□ 基礎杭欠陥及びデータ偽装問題
                         
□ 連日、新聞・テレビ等で報じられ、その問題は当該マンション一物件に留まら
 ず全国的大問題になりましたので、詳しくみていきたいと思います。

□ 発注形態 
 売主・三井不動産レジデンシャル(建設工事発注)→ 施工者・三井住友建設
 (杭工事発注) → 杭一次下請・日立ハイテクノロジーズ(杭工事発注) → 
 杭二次下請・旭化成建材

 ※ 日立ハイテクノロジーズは、安全・工程管理業務担当とのことであったが、
  丸投げではないかと推測される。(報道でも全く表に出てこない)

□ 杭構造欠陥の発覚の経緯

 ・ 棟と棟との外廊下手摺接合部がずれていたことに住民が気付いた。
  管理組合が調査した結果、建物が傾いていることが判明。2015年6月
  このことを指摘された売主が、数カ月経過後に調査開始した。 
   
 ・ 売主がボーリング調査を行い、杭8本が支持層に達していないことが判明。
  2015年9月

 ・ 杭データ改ざんを旭化成建材が発表 2015年10月
 
□ 欠陥 → 杭長不足

 ・ 西棟杭52本中 支持層に到達していない杭6本 支持層への挿入不足2本

□ 欠陥 → 杭先端根固め液セメントミルクの注入量不足

□ 偽装 → 杭施工データ記録 

 ・ 掘削機の電流計データ捏造 当該現場代理人担当の41件中19件に捏造あり

 ・ 杭先端セメントミルク流量計データ 捏造多数

 ・ 他の杭のデータの流用(コピペ等)  

 ・ 3040件中300件にデータ捏造があり、50人の現場代理人が関わっていた。

□ 偽装の発端

 ・ データを取り損ねた。(スイッチ入れ忘れた・湿気で紙が詰まった等) 

 ・ データを紛失した。
 
 ・ 記録紙を損傷した。

□ データごまかし発生時の状況

 ・ 43件中20件前後については、元請け会社からその日の内にデータ提出を
  求められず、報告せずに済み、後日まとめて提出するというケースに集中して
  いたことが判明。
  逆にデータが改ざんされていなかった残りの半数については、毎日データの提
  出が厳しく求められていた。

 ※ このことから元請業者の管理監督次第で、結果は大きく違ってくることが判る。
  更には、監理者の施工者に対する指導監督についても同じことが言える。

□ 自治体や民間企業の遡っての調査の結果、旭化成建材以外の杭打業者にも誤魔
 化しが見つかり、全国的にデータ偽装発覚が拡がっていることが判る。

 ・ 発注者の多くは「杭は支持層まで達していて安全性に問題はない」とコメント
  している。
 
 ※ 支持層への根入れや根固め液の施工も確認した上で言っているのか?
  とにかく安心させたい、などということでは困る。

□ 杭長不足(支持層へ到達していない・或いは根入れ不足)の原因

 ・ 設計着手以前に行う地質調査(ボーリング調査)が不適切だったこと。
  調査ポイントが少なすぎたことにより、ポイントの間隔が飛びすぎていて、支
  持層が一部深くなっていることに気づかず。

 ・ 横浜に特有な支持地盤層の変化に関係者が気づいていなかった。   

 ・ まともに調査していれば、支持層が深くなっている箇所は、その時点で確認
  できた筈。
  従って、その個所は杭長を長く設計していたであろう。
  設計者・三井住友建設の責任である。
  その不適切な内容の設計図を基に杭施工業者が施工したわけであり、杭施工業
  者こそ、とんだとばっちりを受けたとも言える。(誤魔化したことは無論許され
  ないが)
  そして何よりも、建物が傾くなどという欠陥は起こらなかったであろう。

□ 事件が起こると最初は、一担当者の問題であるとコメントすることが多いが、
 調査が進むと、とんでもない、実は組織の問題であることがわかる事が多い。

□ 関連各社の対応 コメント

 ◇ 売主:三井不動産レジデンシャル

 ・「建物が傾いたのは、東日本大地震の所為である」

  (発覚時点で、とっさの言い逃れ?)

 ・「子会社の担当者がデータの測定に失敗し、手元にある別のデータを転用した
   可能性が高い」

 ・「調査したところでは震度7の地震にも耐える」

   (”耐える”とは壊れないこと? ひっくり返らないということ?根拠は?)


◇ 施工者(元請):三井住友建設
   
 ・「二次下請の旭化成建材の管理能力を過信していた。裏切られた」

  (自分とこがしっかりやってればこんなことにならない。泣き言を言いなさんな)

 ・「見抜けなかったのは元請けとして誠に慚愧の至り」

 ・「”試験的に打つ杭に立会い、残りは施工報告書で確認すればよい」とする国
   交省の標準仕様書に沿った対応だった。日々の管理に落ち度はなかった」

  (これは酷い。こ〜んな言い訳よくできる。恥ずかしくないのか) 

 ・「大地震でも倒壊しない構造強度を有している」

  (開き直ってる)

  発覚後1カ月間沈黙していて、定例決算会見の席で初めて公の場で謝罪・・・
  呆れてしまう。
  決算会見のついでに謝るだなんて・・・この場をお借りしてなんてことで済む
  ことか。
  総合請負業者(ゼネコン)としての自覚がない。
  技術を売り物にしている企業なのだから、潔く謝罪すべきなのに、逆に泣き言。
  会社幹部が恥の上塗りをしてしまった。

 ◇ 日立ハイテクノロジーズ(杭工事の一次下請)

 ・ この件では一切表に出てこず、これまた決算発表説明会で、通り一遍の謝罪
  と「現在は事実関係の確認・調査に取り組んでいる」と回答。

  (そもそも、会社情報の組織図を見ても、杭施工部門など見当たらない。表に
   出ようにも出られないのであろう。多分丸投げだろうと推測される)

 ◇ 旭化成(旭化成建材の親会社の幹部)

 ・「未達と言われた杭は届いているかもしれない。きっちり調査したい。杭工事
   のデータ偽装と建物の傾きに因果関係があるかも含めて、きちっと調べたい」 

  (当該物件の契約に関与していないのに、こんな発言をする立場ではなかろう。
   旭化成本体の事業に影響すると困るので頭を下げたということか。こんなこ
   とをすると話の筋がおかしくなる)

 ◇ 旭化成建材(杭工事二次下請)幹部

 ・「だらしない性格の現場管理者(出向社員)だった」

   (会社幹部がこんなことを言っちゃうの? 会社の恥を晒してる) 

 ・「施工報告書の作成や管理体制が不十分だった」

 ・「データは偽装したが安全性に問題はない」

  (元請や売主の手前そう言わざるを得ないということか。だが孫請の立場で言
   うべきではない。言わされているのか?)

 ・「記録が残る過去10年間の3040件の施工記録を調査し、国交省に報告する。
   改ざんが疑われる建物については掘削調査を実施する」

 ・「現場管理者がインフルエンザで二日間休んでしまい、それをきっかけに、
   データ管理が次第に杜撰になってしまった」

  担当者個人の資質の所為にしようという意図が幹部に感じられたが、調査が進
 むに従い、実に多数の現場管理者が同様の捏造を行っていたことが判明。
 この事から、企業としての品質管理への取り組みの杜撰さが見えてきた。

□ 当該物件以外の杭施工会社の施工管理者のコメント例

 ・「施工記録データがうまく取れなかった時などに、書類上の辻褄を合わせ工事
   期間を守るために、元請会社も了解した上で改ざんが行われることがよくあ
   った」

 ・「実際に杭工事をしている経験上、何らかの偽装、何らかの操作はするもの。
   変更の計算書を出すよりは、実際、大丈夫なんだから、問題ない内容の報告
   書にしてしまう方が簡単なのだ」

 ・「設計上、杭は安全率に余裕を持たせているので、施工記録データが改ざんさ
   れていたとしても、安全性は確保されている筈だ」

 ・「施工記録の改ざんは、旭化成建材以外の複数の会社でも行われていた」

 ・「元請けの建設会社から『記録データが無いのならテキトーに作ってでも全部
   揃えろ』と言われた」

□ 国土交通省の有識者委員会発表の報告書概要。

 横浜市の傾いたマンションの杭工事に関わった3社に建設業法違反の疑いがある。
 工事の丸投げなど違法行為がデータ偽装につながったと見られ、行政処分を検討
 する。
 3社は元請けの三井住友建設、1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、2次下請
 けの旭化成建材。
 日立ハイテクノロジーズは、杭が固い支持層に届いたかどうかの判断を旭化成建
 材に任せ、施工計画書の作成や工程調整、完成検査も担わせる「丸投げ」の状態
 だった。
 丸投げは、施工責任があいまいで手抜き工事につながるとして禁じられ、下請け
 も含め営業停止処分の対象。

 2500万円以上の大規模な工事を請け負った業者には、他の現場と兼務しない
 専任の「主任技術者」の配置が義務づけられている。だが日立ハイテク社と旭化
 成建材は、いずれも主任技術者を複数の現場と兼務させていた。三井住友建設も
 兼務を知りながら改善を指導せず、行政への通報も怠った。3社とも業務改善命
 令の対象となる

 一連の行為が現場管理の甘さにつながり、データ偽装の一因となった。
 業界全体に偽装が拡がった背景として、偽装を許容する業界の風潮や企業風土と
 データを軽視する個人の意識の問題がある。
 再発防止策として、元請けの技術者が支持層への到達に責任を持つなどの施工ル
 ールの策定や、元請けと下請けの責任の明確化など建設業界の改革が必要。
 旭化成建材のデータ偽装が明らかになった全国の360物件のうち、303件で安全性
 が確認され、データ流用と安全上の問題との関連性は低い。
 他の8社で発覚した56件も確認を進めている。

□ 売主・三井不動産レジデンシャルの今後の対応

 ◇ 買主への対応

 ・ 買主への責任を持つのは、売主(事業主)である。
  ゼネコンでもなければ杭打業者でもない。

 ・ 提案
  建て替え 4棟全て 200億円以上、期間3年以上、仮住まい費用を負担
  買い取り 住戸を購入価格以上で買い取り  再建築後の販売予想価格にて

 ◇ 買主(居住者)が悩む点

 ・ 立地・環境が気に入っている。

 ・ 子供の学校を変えたくない。

 ・ すでに出来上がっている近隣の人間関係を失いたくない。

■ 全体的考察

□ 杭施工業者の現場責任者が無責任になる背景。

 ・ 建築物全体に対する認識は低く、与えられた工事量を期限迄に終わらせるこ
  としか考えなくなりがち。

 ・ 作業員職長上りが多く、経験を積んだ実務に長けている者が、受注先に出向
  し便利に使われる。

 ・ 作業の特性、厳しい作業環境(風雨寒中暑中泥中)での単純作業・力仕事の
  3K職場であり、あまり労働意欲が湧かないであろう職種であること。
  長年続けていると、感覚がマヒし体で覚えた勘で仕事をするようになる。
  作業効率ノルマしか考えられなくなる。
  だからこそゼネコンの監督員がしっかりしなければならない。

□ 構造欠陥が多発する背景。

 ・ 作業員不足 コスト削減 施工管理技術者不足 技術者能力低下

 ・ ゼネコンのベテラン技術者の大量退職で、若い社員への技術の伝承がまとも
  に行われていない。

 ・ 技術者不足により業務が多忙を極める。

 ・ 従前は、現場員は日中は現場に出っ放しで管理・監督業務を行っていたが、
  今や自主管理と称して下請け業者任せで報告書を確認するだけとなっている。
  現場に出る時間を奪っているのは、ISO関連書類その他の書類等の作成に没
  頭せざるを得ないこと。

 ・ 日ごろ多忙の為、施工記録データを都度確認・整理することが出来ず、月末
  や社内監査或いは工事完成時点で集中的に処理することになり、その時、初め
  て記録の不備に気付き、捏造に手を染める者が出てきてもおかしくない。
  仮にその記録中に問題を見つけても、時既に遅し、施工は済んでしまっている。

□ 杭の施工データ偽装に手を染めていた現場管理者がそんなにも大勢いたという
 事実を重く考えなければならないだろう。
 担当者一人一人の責任だということでは片付けれらないことだ。
 これは会社のシステム管理に問題があったと考えるべきで、ミスの起らない、或
 いは誤魔化しの出来ない記録システムを構築する必要がある。

□ 硬い話でくたびれたでしょうから、ここでちょっと砕けた話を・・・

 ・ 以前のゼネコン現場マンは真黒な顔をしていた。
  耳の両脇だけ白い筋が付いている。なんだろ?ヘルメットの顎紐の跡なのだ。
  そこだけ日焼けしないので白い。
  朝礼を終えると現場へ飛び出して行き、作業の段取り、作業員の監督、現場
  チェックのため夕方暗くなるまで出ずっぱり。事務所へは昼飯の時にだけ戻る。
  だから黒くなるはず。
  若い現場員が毎日しきりに耳のところを触っているので、訊いてみたら、
  「白い筋が付かないように、毎日紐の位置をずらしているんですよ。女の子に
   嫌われるんで・・・」
  なんとも涙ぐましい努力をしていたのだ。
  (注) 顎紐をしっかり掛けておかないと、衝撃でヘルメットが吹っ飛んでしま
    い事故に繋がる。
    嫌がる作業員にヘルメットを被らせ、顎紐を掛けさせるのも彼らの仕事。

 ・ 最近の現場員はどうか?
  下請け業者には書類で指示。
  施工確認は下請け業者にやらせ書類で報告させる。
  その他、ISO関連その他の多数の書類作成に追われる。
  現場など出る暇がない。
  従って、耳の両脇に白い筋は付かなくなった。(っつうか顔自体が白くなった?)

 ・ 最近の酷い事件を知った世間は、不動産業界・建設業界はこんなに酷いの?
  と思い込んでしまうだろう。
  日頃まじめに頑張っている誠実な社員の皆さんが実に気の毒だと思う。
  
□ 社会への対応

 ・ 旭化成建材が専ら会見し謝罪しているが、それは全くの筋違いである。

 ・ 横浜都筑区の傾きマンションに関して会見・謝罪・対応すべきは売主・三井
  不動産レジデンシャルである。

 ・ 謝り方の手順(謝る相手)は下記のとおり。

  旭化成建材 → 日立ハイテクノロジーズ → 三井住友建設 → 三井不動
  産レジデンシャル ⇒ 買主・世間 

□ マスコミの対応 

 ・ 杭工事孫請け業者である旭化成建材にばかり目がいってしまい、事の本質を
  見誤っている。

 ・ 買主に対しての責任は売主にある。

 ・ 売主(事業主)に対しての責任は施工者(元請)にある。

 ・ 本来の主役を引っ張り出すのがマスコミの役目だろう。

□ 新聞にこんな記事が載っていた。

  ”前田建設工業はマンションなどの基礎工事となる杭(くい)打ち工事につい
   て独自の施工ルールを導入する。杭の長さなどを設計した担当者が実際に施
   工する作業者に工事のポイントを直接指示。杭を打ち込む現場では社員が立
   ち会い、その場でデータのチェックもする。従来、杭打ち業者に任せていた
   仕事のやり方を改め、工事の確度を高めて不具合の芽を摘む”

 ・ いやはや呆れた。
  こんなこと、ちゃんとしたゼネコンなら昔からやってる。
  どこが独自なの。
  「あったりまえだのくらっかぁ」
  こんなバカげた今更のことを独自だなどと記事にする新聞社もおかしい。

□ 当該マンションの構造欠陥の後始末は、売主と買主との間での協議で決着すべ
 きことである。
 しかし、この欠陥問題から発生した施工記録データ捏造問題は、この物件のみに
 収まらず、今や日本中に波及し社会問題に発展してしまっている。

□ 以上みてきた事件の殆んどが売主・施工者とも大手ですね。
 大手で安心だから買ったという話をよく聞きますが、その大手がこのありさま。
 買主は一体どうしたらよいのか?
 売主も施工者も信頼できない状況では、買主はどうしようもないんですよ。
 出来たものを買うんですから。
 だから、マンションの企画・設計・監理・施工・検査等の各業務に携わる人たち
 が、おっと、第三者確認検査機関の人たちも、自分の領分の仕事を誠実にやって
 くれるしかない。
 問題があった物件の関係者は、徹底的に反省し、何があったのかを洗いざらい、
 恥ずかしいだろうけど、世の中に明らかにしてください。
 それしかない。 

■ 今年の消費者問題10大ニュース 堂々第4位!!

 「マンションの基礎杭データ改ざん発覚


■ この一年、おつかれさまでした。
 皆様どうぞ良いお年をお迎えください。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

            NHK出版 生活人新書   

■□■  「良質なマンションを手に入れる」 村上 健 著  ■□■

           どうぞ、ご参考になさってください。


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  一級建築士 ・ マンション管理士
  村上 健
  ブログ     http://kensanno-mansion-advice.at.webry.info/
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